機巧少女は傷つかない 16 下 Facing"Machine doll II"

著/海冬レイジ イラスト/るろお レーベル/MF文庫J

シリーズ最終巻。
メモがてら物語の根幹にかかわるネタバレを乱発してるので未読の人はスルーしてくださいね。
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表紙は神性機巧マシンドール。
最終巻の表紙がメインヒロインじゃないのは珍しいですね。
まぁマシンドールは最終的に夜々になるので、メインヒロインと言えなくもない。
また上・下巻で表紙が繋がります。
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夜々→完全破壊
いろり→大破
小紫→最終巻で獅子奮迅の大活躍
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最終決戦の相棒は小紫でした。
サポート系と侮るなかれ。
むしろ完全開放された「八重霞」が強すぎてビビった。
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魔術師の到達点である第八階梯「心眼」すら欺く欺瞞の魔術回路。
夜々が破壊され、いろりも大破した雷真だったけれど、小紫を引き連れてエドマンド&七號、紫薔薇・綺羅を撃破して、ついにマシンドールへと挑みます。
っていうかね、ほんと雪月花と戦う時は小紫だけ初手でどうにかしないと、開幕「八重霞」の時点で勝負にならない雰囲気。
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エドマンドの行動理念はエリート主義、いや反ポピュリズムかな?でした。
愚かな民は必ず間違う、だから正しい俺が率いて民を守る国を作る。
過去に大切な同志たちを失って、その復讐をするだけでなく、そんな愚かな世界を正しい姿に革命すべく行動していたのでした。
まぁ彼は話を動かすキャラであって特段個人戦闘に長けたわけでもないので、決着をつけてもお話には特に影響はありません。風呂敷を畳んだ意味があったくらいで。
こうして雷真との戦いに敗れた彼ですが、エピローグでは生き残って新たな金薔薇になります。
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リゼルダは生きていました。
フラガラッハで自ら胴体を引き裂いて後から戻したらしい。さすが魔王さま。
雲雀との再戦では、純粋な剣士と魔術師の差でフラガラッハで首をはねて(すぐに戻した)屈服させ、二人の師匠はなんかいい雰囲気に。
駆け足だけどこの二人の話にも決着付けました。最終巻らしくクライマックスイベントが目白押しです。
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「たとえ選ばれずとも、うちはもう赤羽の人間――赤羽日輪や!」

雷真とロキとの最後の共闘に、ずっと登場せず陰からチャンスをうかがっていた執事シンが加勢して、式王子の依代だったアリスを助け出し、最後は「八重霞」で最強の魔女・紫薔薇の知覚すら欺いて勝負あり。
うん、完全開放「八重霞」強すぎはんぱない。
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紫薔薇・綺羅は、いざなぎ流に凶をもたらす大凶兆の占星「土門を絶やす凶兆の姫。赤羽の名を継ぐ呪い忌み子」から孫娘の日輪といざなぎ流を守るために十年二十年と暗躍していたわけですが、つまり何が言いたいかというと「土門を絶やす凶兆の姫。赤羽の名を継ぐ呪い忌み子」は何よりも大切に守ってきた孫娘である日輪だったのでした。
赤羽一門滅亡の仇であり、物語後半はずっと悪意をばらまいてた最悪の敵こと紫薔薇・綺羅との戦いは、こうして綺麗にオチが付いたとさ。
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そうしてエドマンドを倒し、紫薔薇から日輪を救い出し、赤羽といざなぎの因縁にケリをつけ、ついに雷真はマシンドールへ挑みます。
まずは1000人がかりで構築した大魔術・万物流転<バンタレイ>で、魔素のなくなる魔蝕を起こして対話へもちこみます。いやだって戦ったら地球を割るレベルの魔砲で即蒸発させられるからね?
そしてシャルに告白されたことを聞かせて心を揺さぶり、最後は夜々に好きだと気持ちを伝えて神性機巧の存在をゆらがせ、そして続いての大魔術・因果性置換<テオレイン>で神性機巧マシンドールを夜々と置き換えます。
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多数の魂を圧縮する神性機巧マシンドール誕生と同じタイミングで死んだ夜々。
その夜々は雷真の命を喰らって徐々に人に近づいていて。
そうしてマシンドールに最も近づいていた夜々の死こそが引き金となってマシンドールが誕生したため、つまり夜々の魂も一緒に神性機巧マシンドールに圧縮収納されていたわけです。
外見もそっくりだから雷真が夜々の魂が残っていると踏んで大博打を打つには十分すぎる前提条件でした。
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3つの大魔術の果てに、2000年ぶり(キリストのことかな)に反魂――死者の復活――神の御業は執り行われ、次世代の人間たるマシンドールという究極の果実を失う事と引き換えに、夜々の願いは叶い、夜々は人間の女の子になったのでした。
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フレイとロキの心臓、アリスの身体は、花柳斎セトの瘴気術を用いて人体錬成することで欠損部位を補填できることに。禁忌の術だけど、ロキは魔王<ワイズマン>になったのでそれも無問題。
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シャルもブリューを再興し、そして文字だけでも興奮できるこじらせた腐女子になりました。
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というわけで。
マシンドールは大団円のハッピーエンドを迎えました。
とても面白かったです。
海冬レイジ先生、8年間お疲れ様でした。