機巧少女は傷つかない 12 Facing "Master's Doll"

著/海冬レイジ イラスト/るろお レーベル/MF文庫J

現在大好評アニメ放映中のマシンドールの最新刊。
追いつきました。
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花柳斎硝子や雪月花の誕生にまつわる過去話と、英国女王の座と学院支配を目論む銀薔薇グローリア王妃への反攻作戦。
ロキが新しい相棒でアスラにリベンジし、シャルとフレイが復帰、夜々も復活、エドマンドがグローリアを失脚させて英国王となり、夜会も再開が決まり最終局面へ。
第2部に一区切りがつきました。
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花柳斎硝子は先代花柳斎の作った「人の作りし人間」、サブタイトル"Master's Doll"はつまり硝子のことになります。
11巻のサブタイトルが同じく硝子を指す"Doll's Master"だったのと対比するサブタイトルになっています。
しかし「人の作りし人間」は単に神様の猿真似にすぎず、神性機巧(マシンドール)たりえません。
マシンドールが生まれるのは夜会の勝者が決まった時であり、勝者の傍らにはべり人間と人形がアウフヘーベンした存在こそがマシンドールとなるのです。
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雪月花は花柳斎が自分の身体を使って作った禁忌人形でした。
つまり雪月花は花柳斎にとって本物の娘のような存在。
朧富士は花柳斎が生き延びるために已むに已まれず作った禁忌人形で、死刑囚を生きたまま解体して製造されたもの。
その事が花柳斎の抱える心の闇の一端で、1巻で「失敗作」と言った理由が12巻で明らかになりました。
長い伏線でした。
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終盤仲間がグローリア反抗作戦を行う中で、雪月花を同時運用した雷真がついに金薔薇を撃破。
金薔薇は転移魔術で逃れるも待ち構えていたエドマンドにとどめを刺されます。
薔薇の結社との戦いもこれでとりあえずは終了です。
これも3巻から登場しているので長い戦いでした。
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グローリアに味方したことでアスラ一派は夜会資格を失い、残ったロキ、フレイ、シャル、日輪、雷真、ソーネチカの6人でバトルロイヤル行いその勝者が夜会1位のマグナスと最終決戦を戦う事に。
というわけで次が挑戦者を決める最終決戦前哨戦っぽい。
風呂敷が次々とたたまれて、最終巻もそう遠くはなさそうです。