森羅万象(オムニア)を統べる者 2 “閉じた小部屋”上

著/水月紗鳥 イラスト/有河サトル レーベル/MF文庫J

MF文庫J2月新刊。
個人的に暴力や権力振りかざして威張り散らすキャラは好きではありません。
常日頃から迷惑行為を行い、それをとがめられると暴力・権力をちらつかせたり凄んでみせるとか論外です。
しかもそれが主人公で、作者からも作品からも愛されてるとかなるとなおさら何だかなーと思います。
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DQNカップルの男の方が、異能の力を扱い裏で日本に多大な影響力を与える集団の長をやってて、政治的にも経済的にも半端ない影響力を持ってて、当の本人も仕事ができる超優秀なイケメンで、最強の能力者で、でも普段は普通の高校生やってて周囲に構わずバカップルしまくり、それが主人公。
そんなスーパースペック主人公が、バカップルの相方の女といちゃいちゃしまくるお話です。
スーパースペックにも関わらずとてもそうは見えない凡百のラノベ主人公未満の痛々しい言動がいっぱいで、読んでる方は終始苦笑い。
あ、ここカッコイイ主人公ドヤッとか思って書いてるんだろうなと思いながら冷めた目で読める人向け。
権力を前面に思うがままにやりたい放題する性格最悪の俺つぇぇぇええ最強系主人公の言動と、それを擁護する取り巻きの女どもにイライラさせられても笑って流しましょう。
これはそんな痛々しいオサレ主人公の言動を笑うコメディライトノベルです。
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主人公は超絶権力者なので例えば人前でアイスクリームを口移しで食べさせあいっことかしても周囲の人間は愛想笑いでさすがですね、とゴマスリしてくれます。
世の中長いものには巻かれろ、大人の判断です。
抑制無く権力振るうことになんら疑念を抱いていない相手に逆らっても何もいいことありませんからね。
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授業中に彼女といちゃいちゃ、クラスメイトがいぶかしげに見てきたら「貴様ら」と凄んでみせ、最初に視線を送った人を見つけだしアイアンクローでつるし上げ、刃物突きつけてナニ見てんだああん?と脅します。
授業中のお話です。
アイアンクローを外した後は「本気で壊してしまわないように気を使ったぜ」とか内心思っちゃいます。
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これを見てカッコいい主人公と思えるならこの作品は向いているでしょう。
そうでないなら絶対に買わないでください。
ストレスマッハです。
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しかも今回の表紙にもなっている新キャラで主人公に忠誠を誓う側近の1人は、やたらと好戦的なので少しでも反感を抱いたりしているのがバレたら大変。
ある日突然こっそり始末される可能性を感じました。
恐怖政治です。
主人公と彼女と側近たちはいつか革命にあって断頭台送りにされると思います。
多分、権力の抑制とか分立とか社会科の授業をやってないか聞いてなかったんだろうな、と。
もしくは真性DQN
別にノーブレス・オブリジとまでは言わないので、権力者の最低限の品格とかもってほしい。
あまりに品性下劣すぎてちょっと引きます。
キチガイに刃物は持たさないでください。
どこぞの中○人民共和国みたい。
孔子平和賞作って身内だけで盛り上がってる感じ。
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ただ内通者には厳しくって主人公が言ってるので、情報流してた表紙の和風ロリが厳しく処罰されるのを見るために3巻は買わないとね。
どうせ俺のためだったんだから問題ない、とかまた言い出すんだろうけど。
果てしなくダサい作品内ではオサレで最強系な主人公なので。
もちろん作品内では賛美されまくりです。
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もしくは和風ロリとは別にもっと情報流してた人物がいるとかそんな感じで。
でも1巻で内部の不穏分子は全部粛正したからそんなはずはないっすねサーセン。
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というとても素敵なお話だったのさ。
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(注)個人の感想です。