この中に1人、妹がいる! 9

著/田口一 イラスト/CUTEG レーベル/MF文庫J

MF文庫J12月新刊。
12月24日はセカンドヒロイン・神凪雅の誕生日です。
お話もちょうど12月中旬〜下旬にかけてでしかもクライマックスは12月24日。
そういうこともあって、せっかくなので季節感もばっちりだしこの日付で感想を書きたいなと思って急いで読みました。
本編最終巻。
次にアフターストーリーが出て完結のようです。
結末に直接関わる重大なネタバレをしているので未読の方はスルーしてください。








主人公・帝野将悟は、帝野グループ前社長・(故)帝野熊五郎の実子ではありませんでした。
これで生物学的にメインヒロイン・鶴眞心乃枝とも結婚できます。
と言うわけでハッピーエンド。
おおまかにはこんな感じ。
中盤で将悟くんが父親に失望し母親に裏切られたと感じ人間不信に陥って次第に心が壊れていくのが個人的によく表現されていたと思います。
また将悟くんが帝野熊五郎の実子で無かったため、神凪雅は生物学的には将悟くんとは他人になったものの、雅パパと将悟ママが再婚することになってなんと義理の兄妹に。もちろん既に将悟くんは神凪雅をはっきり振っていて、神凪雅も将悟くんの選択を受け入れているため、二人の間には家族愛はあっても昼ドラ的な泥棒猫な恋愛感情はありません。
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閑話休題
将悟くんの母・帝野鹿野子が鶴眞心乃枝を何が何でも執拗に遠ざけようとしたのは将悟くんが帝野熊五郎の血を引いてないことが露見するのを防ぐため。将悟くんと心乃枝でDNA鑑定されたら一発で分かってしまうので。
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帝野熊五郎と鹿野子が政略結婚

鹿野子は想い人がいたものの良妻として尽くす。さらに子供ができればもっと前向きにやっていけると考える

帝野熊五郎が男性不妊症(いわゆる種無し)であることが発覚

人工授精などでも妊娠できず

三者精子による人工授精を知り、鹿野子が提案

帝野熊五郎は男としてのプライドを傷つけられるも子ができない責任が自分にあるとの負い目から提案をのみ、遠縁で帝野熊五郎によく似た親戚(将悟くんの遺伝的父親になります)から提供を受ける

鹿野子妊娠、生まれた子に『将悟』と名付ける。

帝野熊五郎は将悟くんを間違いなく愛し実子と変わらぬ愛情を与えてはいたものの、種無しという烙印を押されたことから生まれた精神的・感情的な欠落があり、その穴を埋めるために鷺宮真由希と関係を持ってしまう

奇跡とも運命のいたずらとも呼べるであろうことが起こり、鷺宮真由希が帝野熊五郎の子供(心乃枝)を妊娠。おそらく帝野熊五郎の唯一の子になるであろう事から産むこと決める。

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物語の発端である親世代の隠し子騒動が、色んな事が重なって運命の糸がもつれた結果であって、本質的に悪い人がいなかったのが良かったかなと思います。
綺麗に風呂敷畳んでハッピーエンドでまとめた良い終わり方だったと思います。
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1点だけ。

「隣で書けばいいのに。わざわざ寒い部屋で書くことないと思うけどな」

P161L3の心乃枝のセリフがちょっとワイルドすぎると思いました。
基本「ですます」口調の丁寧な喋り方をしていてもちろん前後の会話もそうなのに、このセリフだけどちらかというと将悟くんみたいな言葉遣いに感じました。