1×10 藤宮十貴子は懐かない

著/鈴木大輔 イラスト/PANDA レーベル/ファンタジア文庫

1×10(ワンバイテン)の意味がイマイチ読んでて分からなかったんだけど、キャラの名前見直したら主人公一条天馬の「一」とヒロイン藤宮十貴子の「十」だったことに気付く。その事に一体何の意味があるかは分からないままでしたけれども。
そして帯にも書かれている「今日から私はあなたの犬です」の意味は最後まで読んでも分かりませんでした。それで通じなくもないんだろうけど、敢えてそんな変態然とした言い方をする必然性は皆無な訳で、まぁ多分ただの釣り。伏線でも何でも無いし、明らかに浮いてるし、端的に言うとレトリックとして最低、美しくない。
ジャンルは現代が舞台の魔法もの。えっとロー・ファンタジーって言うんだっけ?
ヒロインが魔法使いで主人公が普通人のボーイ・ミーツ・ガールの典型です。
まず、キャラ設定に関して。
主人公の一見相手を持ち上げながら実際は見下してる態度や喋り方が、かなり感じ悪く鼻について共感しづらかった。端々にお前らは分かってないけど俺は分かってんだよ、みたいなニュアンスが感じられて嫌な感じ。極め付けが、P284「ひさびさに、本気。出してみるよ。ずいぶんサビついちまった本気だけど、さ」ってなオサレでスイーツなセリフ。はいはい本気出したら強い強いワロスワロス。
次に内容について。
ヒロインが魔法の制約のせいで主人公に対して自分のことを明かせないって設定で、それがお話の重要な要素になってるんだけど、実は自分で勝手に、それこそ必要も無いのに制約を掛けたのが原因で、それを辛いことだなんて言われても、いやそれ単に自業自得じゃね?安易に魔法(行使するには応じた代償が必要)に頼った報いだよね?と思ってしまうわけで。
結論としては、あまり面白くなかった。