がんばりすぎなあなたにご褒美を! 堕落勇者は頑張らない

著/兎月竜之介 イラスト/そりむらようじ レーベル/MF文庫J

まず最初に、好きな人にはごめんなさい!
ボクにはまったく合いませんでした。
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若き救世の勇者が、世界を救った後も「理想の勇者」を続けることに疲れ果て、全てをなげうって逃亡した先で、包容力の高い少女と出会い「バブみ」によりメンタル安定してヒモ生活を始めるお話です。
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まず、作中で「バブみ」がどうとか会話するのはどうかなと思いました。
狙いすぎ感がありすぎて物語に没入し辛い大きな要因でした。
お前らこんなのが好きなんだろ?的な。ほらオギャれやとあからさまに言われてる感ありありだったというか。
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次にヒロインの造形です。
バブみ」を与えるキャラにするために、12歳の少女でありながら子供らしさが全くありません。代わりにあるのだひたすらの無償の愛で作られた包容力です。わがままも言わず、日々たくさんの家事をこなし、主人公を甘えさせます。
さすがにやりすぎだろうと。
少女がそこに至った境遇にも説得力は微塵も感じられず、いくら創作とは言え嘘っぽすぎてちょっと無いかなーと。
バブみ」のためだけに作られたヒロインが、主人公に「バブみ」を感じさせるって、それはちょっと違うんじゃないかと。
まずストーリーがあって、その中で「バブみ」を感じさせるなにかがあって、そして読者が「バブみ」と評価するってのが有るべき姿じゃないのかなと。
いやまぁそういう面倒くさい要素を取っ払った日常系四コマ漫画テイストの作品と言われれば、それまでなんですけど。
ただその場合は読み手をかなり選ぶよね。
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その「バブみ」要素にしても、主人公とヒロインの深い絆によって生み出されたとかではなく、何の関係性も構築されていない初期の段階からマックスで発揮されるため、これまた嘘っぽさが大きくて、うーん……
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というわけで、「バブみ」が好きでないと読むのがちょっとつらいと思います。
えっちなお姉さんが好きなボクは、小さい女の子に対して母性を求めたり仲良くなりたいといった感情を全く抱かないので、最初から最後まで通してきつかったです。
一般人はスポイルして、最初から「バブみ」を感じたい人だけに向けた非常にニッチでコアな作品だったかな、と。
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ただそう言った趣味嗜好の問題以外にも、いろいろ書いたようにやや問題のある作りだったんじゃないかと思います。