魔剣の軍師と虹の兵団<アルクス・レギオン>

著/壱日千次 イラスト/おりょう レーベル/MF文庫J

MF文庫J1月新刊。
オリジナルのハートフルコメディで勝負し続ける一押し作家さんなので作家買い。と言ってもMFは毎月出る分の半分以上買ってるので自然と作家買いになることも多いんですが、この作家さんは特別なのです。
.
後世の歴史にその名を刻む「魔剣の軍師」ジュリオ・ロッシと、彼の率いた「虹の兵団」と呼ばれた英傑たちの物語。
うん、なんかいつもの作風と違う?
ヒロインの「あほー……」もありませんでした。
.
義理の娘と結婚できないからと祖国を捨て新しい国で娘と結婚するんや!と亡命した王国最強のイケメン騎士、弓術以外はからっきしだけど格好良いセリフを日々考え素敵な自分を演出し乳を盛りetc...その偽りの「格好いい自分」を後世に残してもらうために全ての情熱を費やす弓聖の孫、神具アルスマグナに選ばれた類い稀な芸術センスを持つエロ修道女、失地王と呼ばれ一国をマジに滅亡させた最低の暗君、光る(だけの)魔剣に変化する女の子。
アレな性格のスペシャリストをまとめ上げ、大国に反旗を翻す中世ヨーロッパ風の軍師モノ。
.
序盤は作者お馴染みの、主人公のボケにヒロインが突っ込むラノベでは珍しいスタイルの掛け合いが展開されるも、戦争が始まる後半はシリアス重視でちょっといつもと違う感じでした。まぁこの世界観でいつものコメディ100%とかされてもアレなんで、それは別にかまわないんですが、作風が変わったのはやっぱ売れなかったので新境地を開きに行ったのかな、と想ったり思わなかったり。
というわけで買って下さい。
イラストもとてもエロ可愛いです。

.
魔剣は今のところぺかー!と光るだけ。
主に目つぶしに使われ、エロいシーンではピンクに光ってムードを盛り上げます。たまに大事なシーンで七色に光って神々しさを演出したり。自分でへぼくてごめんねと謝る心優しい魔剣なのです。
.
1巻は反旗を翻した新生トレント王国が、新たな女王ラン・ラグランジュを打ち立て押し寄せるロンバルディアの反乱征伐軍を打ち破るところまで。
最後までヘタれでありながら、民のために命をはるのはここしかないと失地王ドナテロが敵大将に一騎打ちを挑み、壮絶に討ち死にしながらも撃退し、死の間際に次の世代に王位を継承するシーンは泣けました。
面白かった。
おすすめ。