しゅらばら! 5

著/岸杯也 イラスト/プリンプリン レーベル/MF文庫J

偽彼氏三股修羅場ライトノベルの第5巻、夏休み編前編。
主人公の偽三股相手の一人である幼なじみの氷魚鷹奈と海に行ったら、残り2人に嗅ぎつけられて海辺でトリプルブッキング(故意)。そして裏で内通して協定を結んでいる3ヒロインが時間調整して順番に主人公と海で遊ぶものの、事情を知らない主人公だけばれないようにと冷や冷やしながら女の子たちとの時間を過ごす聞くも涙、語るも涙の苦労話です。
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今回メインだった鷹奈が、主人公に好きになってもらえるようにがさつな自分を変えて女の子らしくなろうとするのがとても可愛かったです。もちろん最後は無理に作るよりも、自分らしさが大事だから、今をベースに少しずつステップアップして行こうというありがちだけどちょっといい話で終わります。
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今までと違う5巻の特徴としては、3ヒロインのうちで一番まともっぽかった第1ヒロインの早少女が、他2人とのバランスを取るためかかなり狡猾に立ち回って自分の利益確保しようとするなどsage調整入れられてました。
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そしてエピローグでは、ずっと両親と一緒に海外に行ってるって設定だけあった主人公の本妹(「ほんまい」。読んで字の如く義妹ではなく本当の妹。実妹とほぼ同義だけど、よりお兄ちゃん大好きアピール度が高い単語)が登場。
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あと物語冒頭にて偶然同じ日に偽彼氏になって欲しいというお願いが3つも被ったことで、以降ありえないような偶然が起こっても酷い偶然だなと自分で自分を納得させる主人公の姿が哀愁を誘いました。自分はあくまで偽彼氏だからと気を利かせて女の子の深い事情にまで踏み込まない気配り上手の上に、その時に納得できる理由を想定できてしまうスペックの高さが切ない感じ。ヒロインたちはそれを最大限利用して偽彼氏のポジションをキープしてるし。こんなに主人公の苦労がしのばれるラノベはなかなか無いんじゃなイカ
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そんな主人公は、女の子と仲良くなる中で誰でもいいから彼女が欲しいって過去の自分を反省して、本当に好きな人と真剣に交際したいって方向に内面的な成長も見せはじめます。
ヒロインも主人公もスタート時にちょっと傷があって、誠実であるがゆえにそこに後ろめたさを感じてて一歩先に踏み込めないってのが本当によくできてると思いました。
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個人的にとてもお勧めです。