社会的には死んでも君を! 1

著/壱日千次 イラスト/明星かがよ レーベル/MF文庫J

第6回MF文庫Jライトノベル新人賞<佳作>受賞作。
ブコメのラブもコメもしっかりと作られた作品でした。
女の子との掛け合いギャグパートも最近多い流行りネタをそのまま流用するだけの手抜きじゃなくて、ちゃんとオリジナルのネタで面白かったです。
中学2年になってすぐ、可愛い美少女幽霊が見えるようになった真面目で努力家な主人公。
しかし彼女の呪いによりラブコメ現象――漫画の主人公のラッキースケベイベントが1日2回発生してしまう体質――になってしまったその日から生活は一変。
漫画ならなぜか許されるそれらは当然現実世界では性犯罪なわけで、哀れ性犯罪者予備軍な変態として扱われた主人公は、俊足巧打の外野手として活躍していた野球部を退部させられクラスの女子からも白い目で見られetc...暗黒の中学生活を送ります。
それらを乗り切った主人公が地元から遠く離れた高校で新しい生活を始める中で、武士っ娘生徒会長には妄想と会話するイタい人と勘違いされたり、偶然痴漢から助けたヤンデレ同級生には運命の人と迫られたり、同居する美人義姉にはストーカーされたりしながらも、触ることすらできない美少女幽霊のためにヒロインたちの誘惑に耐えて愛を貫きます。トゥルーラブストーリーです。
主人公が時折流されそうになるもののかなり一途なのと、ラッキースケベをおこさないために漫画でバリエーションを勉強して対策を立て(例えばやたら足がもつれる主人公が多いので足腰を鍛えたり、噴水のようなイベントが発生しそうな場所には近づかなかったり)、万が一ラッキースケベを起こしてもギリギリで笑って済まされるように身だしなみに気を遣い爽やかで明るく振る舞い日々女の子の好感度を上げておくなど、色々と頑張ってるのがとても好感もてました。
そのせいでヒロインたちからは不必要に好かれてしまってるわけですけど。
主人公と幽霊美少女が触れ合うことすらできないお互いの気持ちを慮ってたりとしんみりさせてくれる箇所も随所にあって、人柱伝説をミスリーディングに使いながら進む物語が、メリハリ効いていてとても面白かった。
お勧めです。