しゅらばら! 4

著/岸杯也 イラスト/プリンプリン レーベル/MF文庫J

3巻で一世一大のお見合いイベントを終えた主人公の帰り際の数時間を丸々1冊使ってしかも全編修羅場にした意欲作。
心身ともに限界まで頑張って後は帰って寝るだけのはずだったのが、次から次へと修羅場展開を要求されて、それでも偽三股状態を壊して女の子の状況を悪くしないようにと健気に頑張る主人公の奮戦っぷり(でももうバレてないと思ってるのは主人公だけ)が、とても同情を誘いました。ラノベ主人公は神様に嫌がらせってくらい試練を与えられるものだけど、それはもうやりすぎでしょってくらいに次から次へと修羅場モード。
ネタバレですが、表紙の子はメインヒロインの赤髪の子ではありません。この子も含めて、エロメイドとかサブキャラが立ってて、ストーリーに華を添えてたと思います。
そんな感じで小気味よく次々と濃密なイベントが繰り出されて読んでてとても面白かったです。
ヤンデレ化した時のいわゆるレイプ目を「月蝕の満月のような眼差し」って表現してるのも素敵だなと思いました。
あと物語的なところで、偽三股がバレてもいいって事さえ教えて貰えたら主人公は滅茶苦茶楽になれるんだけど、その情報は持ってるだけで圧倒的な効果を発揮し続ける最強のカードであり、その上使ったら最後意味のなくなる最強の切り札なわけで、メインヒロインは最後の最後まで握り続けている事でしょう。
ただその共犯関係がすでにバレてる事が明るみに出た時にかなりの不信感が生まれるだろうし、お話としてはそういう展開に持っていくのではないかと。唯一内情を知ってて心を許せる味方だと信じてた相手が実は、一番の不実をしてたわけなので。
それなりに真面目に読める修羅場ものでお勧めです。


ちなみに偽三股の3ヒロインは、
・周囲の状況を固めて振りだけの婚約を本物のそれにしてしまい逃げられなくしてしまおうと画策するヤンデレ気味のお嬢様
・幼馴染という圧倒的なアドバンテージと人間離れした戦闘能力でにらみを利かせるもちょっと出遅れ気味のお隣さん
・二人だけの共犯関係が続いていると主人公は信じている、そんな最強の切り札を握り続け、私相手なら取り繕う必要がないし唯一の心のよりどころになれるわよ、だから私が一番でしょ?状態を維持し続け、学校ではバカップルとしてラブラブして肉体的にも精神的にもアド稼ぎに余念のないアイドル声優の卵のメインヒロイン
です。