変態王子と笑わない猫。 1

著/さがら総 イラスト/カントク レーベル/MF文庫J

横寺陽人は頭の中身が煩悩まみれな高校二年生。ひょんなことで“笑わない猫像”に祈ったら、心で思ったことがいつでもどこでも垂れ流しになってしまった! 人生の大ピンチを救ってくれたのは、クールでキュートな無表情娘、筒隠月子――「頭の先から尻尾の終わりまで撫でまわしたくなる感じの子だなあ」「変態さんですね」「ち、違っ、褒め言葉の一種だよ!?」「裁判沙汰の多そうな変態さんですね」「!!??」とにもかくにも猫像のせいで喪われた本音と建前を奪還しようと、ふたりは協力してアニマル喫茶に行ったり水着を買いに行ったりお嬢様のペットになったり――ん?第6回新人賞<最優秀賞>受賞、爽やか変態×冷ややか少女の青春迷走ラブコメ

MF文庫J第6回新人賞<最優秀賞>受賞作。
MFでこのタイトルなので余程アレでナニな作品なのかと思ったら、凄く真面目な青春ものでした。良い意味で裏切られた作品。タイトルだけ見て回避した人も、とりあえず騙されたと思って買ってみてはどうでしょうか。きっと損はしないはず。


要約すると、
建前ばかりで本音が言えない高校2年生・横寺陽人がひょんな事から「笑わない猫像」に祈ったら、建前が言えなくなり心で思ったことが垂れ流しになってしまっていた。繕う事なく日々の高校生らしい煩悩を垂れ流した先に待っていたのは、女子からの蔑んだ視線と「変態王子」というありがたくない二つ名だった。同じく猫像に本音と表情を奪われてしまったヒロイン筒隠月子とともに、大切なものを取り返すためにあれやこれやと頑張るお話。


建前ばかり並べ立てて本心から心を伝えることをしなかった主人公がそれに気付いたり、本音とか建前とか関係なく自分がやるべき事をやらなくちゃいけないと言った感じで、ヒロインたちと触れ合う中で主人公が成長して行きます。最後の何ともいえない斜め上行き過ぎたオチはやっぱりMF文庫Jだなぁと思わせられたものの、かなり真面目な青春物でした。
イラストも可愛いしお勧めです。