フルメタル・パニック! 12 ずっと、スタンド・バイ・ミー(下)

著/賀東招二 イラスト/四季童子 レーベル/富士見ファンタジア文庫

未読注意、ネタバレしてます。


12年に渡って続いた学園ミリタリーノベル最終巻。
世界の再構築、ループしていた18年前から最後の1度のやり直しを画策するレナードとソフィアに、宗助がテッサのTDDとギリギリの連携をとりながらレーバテインで立ち向かいます。防衛ラインの突破からレナードとの一騎打ちにかけては人型兵器アクションの描写が非常に巧みで、文字だけでアームスレイブがどういう機動をしてるのか目に浮かんでくるようでした。
カリーニンと宗助の最期のやり取りもカリーニンの信念や想いががはじめて描写されていて、初期からメインキャラクターとして厳しさだけを見せてきた彼の人間味のある暖かい死に際がほろっときました。戦う才能の無い宗助を拾って育てたのは身重の妻に先立たれてしかもそれを看取れなかった事への贖罪で、宗助を育てる事でその贖罪をしながら彼は果たせなかった父親という存在になる事ができた。そして優しい自分を騙して戦いの世界に身を置く宗助が、やり直した新しい世界で平和な学生として生きる事を願ってレナードに手を貸していた事が明らかになり、宗助に厳しい言葉を投げ続けたカリーニンが優しい父親として宗助を見守っていて、最期も父親として死んで行った姿はフルメタの中でも断突格好良かったです。
世界の危機やウィスパードなど色々な要素があったけれど、敵地に単身乗り込んでヒロインを救出するす白馬に乗った王子様がボーイ・ミーツ・ガールを完遂してハッピーエンドで終わった終わり方も良かったと思います。フルメタを代表する「問題ない」のセリフが最後の最後のここで出てくるかーって感じでほんと万感の最終巻でした。
12年間本当にお疲れ様でした。できれば後書きで言及していた後日談含めた短編集も出して欲しいです。
次はハルヒですね。本当に出るかどうかはわかりませんが、一応今年の年末予定らしいので楽しみです。