いちばんうしろの大魔王 6

著/水城正太郎 イラスト/伊藤宗一 レーベル/HJ文庫

大和望一郎との戦いが終わり、第2部がスタート。
曽我けーなそっくりの謎の転校生ケーナドロンズ(ドローンズは未確認飛行物体の一種)が現れ阿九斗にラブラブするのを見てヒロイン達がヤキモキし、街に出ては魔王信奉者を呼び寄せた挙句騎士団を壊滅させ、魚沼産コシヒカリのライスプディングを巡って地獄絵図のガチンコバトルが始まり、一般紙なのに女の子二人が電動バイブで遊び(イラスト付き!)、図書館に行っては服部さんと裸でベッドで乳繰り合いころねを廊下でお仕置きしケーナのスカートの中で尻に顔を擦りつけたりします。
新章スタートということで、そんな感じのドタバタラブコメ要素満載でした。そのケーナは第1部ラストで自同律が世界の記憶を書き換えたことによって生まれた歪みでもとより消える運命にあったものの、何も為さずにただ消えるのではなく最後は阿九斗に満足させられて幸福の絶頂の中で消えていくことが出来ました。
その過程で阿九斗がけーなの無邪気な残酷さに少し距離を感じる描写があったり、今までその楽しさや価値を理解できなかった小説をはじめとした「物語」というモノに少し意義を見つけられたりと、期せずして騒動を引き起こしてラブコメするだけではなく、ケーナと触れ合う中で人間的に成長を見せた第6巻でした。
そんな感じでシリアスシーンの内面描写が上手で面白い作品です。逆にサイエンスフィクション部分はちょっとかなり解りにくいものの、この巻はSF要素が少なかったのでサクサク楽しく読めました。
ゲストヒロインのケーナはいい娘だったので出来れば残って欲しかったんですが、その辺きっちり線引きして退場させるキャラは退場させる、もちろんただ消えるのではなく主人公を成長させる役目を担わせて消える、そう言った作者のバランス感覚の良さ、キャラの使い方の上手さも感じられました。
お勧め。