デウス・レプリカ 1

著/にのまえあゆむ イラスト/をん レーベル/HJ文庫

第3回ノベルジャパン大賞佳作。
ひょんなことから神器を模したレプリカの一つリメイン・マターをその身に宿してしまった平凡な高校生神村悠が、魔術や超能力といった常識外の世界に投げ出されるも「萬屋探偵事務所」所属でクラスメートの柊美鈴の助力を得て、その身に宿ったリメイン・マターを巡って起こる危機に対して一つの選択をするお話。
いかにも佳作(=見所はあるけど賞には届かない)な作品。面白くなくは無いし会話も悪くないものの、いかんせん伏線がほとんど回収されておらず、かといって必要な伏線は張られておらずいきなりの展開でついていけなかったりと、やや微妙な続編前提の1巻でした。最近ではデビュー作から続編前提ってのもそんなに珍しくないですが、あまりに設定投げっぱなしな点と不必要な伏線を入れてる点、性急すぎる展開がちょっと気になりました。
文章やキャラクターは結構こなれていたものの、一つ一つの要素がバラバラ。1巻で使わないネタをやたらと振りまいては完全スルーなのは物語がグダグダしちゃっててマイナス評価。主人公の姉の失踪理由、柊美鈴の過去や姉との関連性、セカンドヒロイン太刀鞍零の人物設定の説明や主人公と結んだ契りに至っては1巻では全くその後何があるわけでもなく、完全に2巻を零編にしてそこでやればいいよねって感じで構成的にどうなのかな、と思いました。
良くも悪くも佳作な作品。