生徒会の一存 1 碧陽学園生徒会議事録

著/葵せきな イラスト/狗神煌 レーベル/富士見ファンタジア文庫

コンクールで賞を取るなど優秀であるが故にやり過ぎてしまう事のある新聞部がPTAや学校に目を付けられないように、その鼻っ柱を折るために描かれたのがほこの「生徒会の一存」という作品で、メタ要素が多いのもそのためという事らしい。
まずなぜ生徒会がこの作品を書く事で新聞部がやり過ぎなくなるのかという因果関係がどうしても理解できません。むしろアホな生徒会がまたアホな事してる、本当に屑の集まりだ自分達はああなら無いようにもっと気合入れて頑張ろうと思うことはあるでしょうけど。
次に身内で身内を褒める内容になってるのもいただけません。新聞部にアピールしよう、他人の方針を変えさせようってのに、身内に甘くおちゃらけた物語を提示しても説得力皆無でしょう。しかも相手は賞を取るような真面目な部活動。そもそも身内ネタを――しかも最終的な主張が身内の擁護――さらには駄弁るだけの話を延々読まされて何かを変えれると思う事からしてどうなのかと思います。これを読んで新聞部が自分達の方針を変えようという意図を感じとるならそれはもう酷いご都合主義。
結局のところ「こんなもの」で身内を褒め合う救いの無さと、「こんなもの」で人の価値観を変えれると思った登場人物たちの傲慢さが目に余る作品でした。
逆に良かった点は、徹頭徹尾生徒会室の中だけで話を作りきった所。素直に凄いと感じました。