チーム・バチスタの栄光 上・下

著/海堂尊 レーベル/宝島社

本当に今更ですが映画やドラマにもなった人気ミステリーを読みました。
現代医療に蔓延(はびこ)る問題というやや重いテーマのミステリーですが、スタイルはあくまで一人称小説なのでぶっちゃけ普段読んでいるライトノベルと同じように結構お手軽に読めます。違いといえば挿絵が無いのと、内容と言うかクオリティが段違いに高いってことくらいで。あーあとラノベと決定的に違うのは、主人公を盲目的に好きな都合のいいヒロインが出てこないって点かな?
やっぱり最初から『主人公に対してだけ』妄信的なヒロインよりも、互いに隠し事がありながら、もちろんある程度信頼も持ち合いながら、いろいろイベントを進めていく中で本当に心を許せる相手として繋がっていくって方が人間味があって面白いと思うんだよね。この辺、主人公にとって都合のいいヒロイン、又はヒロインにとって都合のいい主人公ばかりなのが現在のラノベの不満点というか、停滞している要因のひとつかなーとも思ったり思わなかったり。
閑話休題
この作者の作品は続編の螺鈿迷宮しか読んだこと無かったんですが、独自エピソードが追加されたドラマより簡潔にまとまってて、ドラマ他の事前情報である程度内容を知ってはいたものの、真新しいミステリーを読んでいるかのようにとても面白く読めました。動機も犯行も、「医療システムと医療人の心理が作り上げた密室」って本質から拡散してしまっていたドラマ版と違って、こっちの原作小説は一貫してたしね。
そんな感じで、この作者ならまず外れはないと思われるので、螺鈿迷宮以外にも続編が幾つか出てるから暇があったら読んでみようと思いました。