神曲奏界ポリフォニカ ペイシェント・ブラック

大迫 純一 (著)、 BUNBUN (イラスト)、GA文庫、2007-10-12、¥630(税込)


ポリ黒シリーズ第6巻。
個人的に、魔法や精霊が入る世界観で、原因から解決までそういった要素を前面に出した推理物はイマイチだと思うのです。解決に至る過程でのお約束が無いと言うか現実世界のベーシックな価値観に基づかないから、推理の過程でどうしても作り手と読み手の間との共通認識に齟齬が出てきてしまうので。
例えば神曲楽士を辞めることがどれ程苦渋の決断であるか、書き手からしっかりと掘り下げた描写がされ無ければ、前提となる共通認識の無い読み手は新たに提示されたその内容を想像や置き換えで想像しながら補完していく必要があります。きっとこんな感じだろうと。
でもそれはあくまで補完するだけで、作者ほどそれが重要な要素とは認識することは通常できません。そういった微妙な齟齬が積み重なっていって、イマイチ登場人物や動機に共感しづらい気がしたのではないかと思いますです。

共感しづらいとは言え、登場人物はしっかりと描写されてるので読む気がなくなるってのはないですが。というかマティアはとても可愛いですよ? おマセな少女なところとか。もちろん性的な意味ではありません……(=゚ω゚=)? 今回はやたらと可愛く描写されてるのでマティアファンにはかなりお勧めです。分かりやすく言うと重要イベント見て完璧に攻略ルート入ってすぐみたいな感じ。もう少し進めて是非ギシアンまで行って下さい(・∀・)


とやや批判ばかりしてますが、内容は普通に面白いです(・∀・)
推理小説じゃなく普通のラノベとして見たら、文章も上手いし内容も〇。葉鍵っ子にはお馴染み「よせやい」なんてセリフも見れます。警察舞台にした推理物だから当たり前だけど、容赦なく人殺すのもオケ。主人公チームが感情に流されて変な正義感とか偽善を振りかざさず、犯人を捕まえるというただその信念に忠実に職務遂行してるのもオケ。



以上ネタバレをギリギリまで避けて書いてみましたまる