夜明け前よりぱにーにな

フィーナと結婚する夢を見て思わずPCを立ち上げたぱにーにです。
最近納品業務しながら「私には、あなたがいるわ――」などと口からぽろっとでたりして、ああ脳が逝ってるなとは思ってましたが、正直ここまで末期に近いとは想像だにしておりませんでした。


肝心な夢の内容はこんなお話。
夜明けなフィーナルートを基にして、微妙に地元アレンジが掛かっています。


フィーナ・ファム・アーシュライト
今は客間の8畳の和室にて寝食をともにしている彼女は、月王国からホームステイに来たお姫様。
短いスカート丈や文化の違いに戸惑っていた彼女も、今ではすっかり地球(というか神戸)での暮らしに慣れ、友達と冗談を言い合ったり「マジぱにーにだし」と突っ込んだりと、有意義な留学生活を送っている。
そしてそんな何気ない日常の中にも常に王女の気品を漂わせる美しい彼女に、僕の心は6年連続ゴールドグラブ賞の名外野手が待つエリア51に飛んだ飛球の如くしっかりがっちりキャッチされてしまったのだった。


そして、フィーナが一生懸命作ったサンドイッチを感情が抑えられずに手で払いのけて落としてしまったり、深夜枠のアニメを見ているところに起きて来てちょっと気まずく(フィーナは非常に面白いと言っていたが)一緒に最後まで見てしまったりと、色々と距離を詰めるイベントがありながらも、月王国のお姫様と一般庶民の僕の間にはそれは高く険しいキャピュレット家の塀があり、後一歩、大人の階段へと踏み出すことができませんでした。


そしてフィーナの留学期間も最終日。
お別れの日に三宮そごう――この辺が妙に現実的(笑)――で地球のお土産を買うことになった僕たちでしたが、僕は気持ちを伝えるために、市販のお土産ではなく留学期間中に2人で行った「約束の地」と呼ばれる遺跡(ワロスw)にあった小さなかけら(夢の中ではなんかのパーツだったけど起きたら忘れました)を取りにいきます。


その頃、お土産を買いながら周りに笑顔を振りまくフィーナでしたが、心はどこか上の空。
お付きのミアもそんな姫様が心配です。
我が妹も出発時間が迫りながら未だ帰ってこない僕に気を揉みながらも、フィーナとミアを笑って送り出そうと満面の笑顔を崩しません。
現実とは違いよくできた妹です。
というか夢の中では麻衣でした。妹よすまん。


そこへやっと到着した僕から携帯の着信が。
麻衣「私たちはここで待ってるから2人だけで合ってきたら?」
ミア「そうですよ姫様」
などと言ってフィーナだけを送り出してくれる面々。
本当によくできたメイドと妹です。
そして2人はVIP用ルーム(百貨店にはリアルであるらしい)で半日ぶりの再開を果たしたのでした。


僕が遺跡で手に入れた欠片を渡しながらフィーナへの熱い想いを伝えると、感極まったフィーナも目に涙を浮かべながら自分の想いを伝えてくれます。
まぁ目が覚めて30分ほどこれを書きながら次第にクリアになってくる思考で考えれば、現実ではまず無いでしょうけど(苦笑
そんな野暮な突っ込みは置いといて、留学期間の最終日に、やっと2人の想いは通じ合ったのです。


そしてこの後は待ってました大人のシーン。
でも本番はありません。
フィーナは、いえフィーナ・ファム・アーシュライトは月のスフィア王国の第一位継承権を持つ王女様。
スフィア王国全ての国民に責任を負う彼女にとっては、例え心の底から愛しい相手であっても自らの一存で純潔を捧げるなんて愚かな真似はできません。
しかし燃え上がる若者の情動とご都合主義な夢展開で、お口ならいいじゃんみたいな流れで強引にサービスシーンが入ります。
○&Cとは違うのだよF&○とは!


フィーナ「あなたのために練習したの――」
といういじらしくも努力家なフィーナの絶妙のテクニックで人生最高の快感を何度も味わった僕は、疲れていたこともあり、フィーナに膝枕をされながら一時のまどろみの中に落ちていきました。


いったいどれくらい眠っていたのでしょうか、目を覚ましたとき、既にそこにはフィーナの姿はありませんでした。
時計を見るとフィーナたちの出発の時間までもうあとわずかです。
我に返り急いで神戸空港―月への便が出てるらしい(笑)―へと向かう僕。
息せき切って駆け込むようにたどり着いた出発ゲートには、青と白のドレスをまといSPに警護されながらゲートへと向かうフィーナと、それを見守る麻衣の姿。


「フィーナ!」
荒れる呼吸を無理やり押さえつけて搾り出した僕の声は間違いなく届いていたはずですが、彼女は振り返ることも無く颯爽とドレスを翻して船へと消えていったのでした。




そして1ヶ月が過ぎました。
既にそれまでの日常以上に日常となっていたフィーナの存在が失われ、ぽっかりと空いた心の穴をどうにか押さえながら過ごす日々にもやっと慣れてきたその日の朝。
いつものように着替えると、朝食を取るべく1階へと下りた僕の前に居たのは制服姿のフィーナ(と麻衣)。


有り得ない状況に寝ぼけて幻でも見たのかと眼をこすっても、そこには確かにフィーナの姿が――


「お久しぶりね」
そう言って抱きしめられたその腕は幻でもなんでもなく、次々と溢れてくる涙を拭いもせず抱き返す両手にはフィーナの柔らかな温もりが――
麻衣の目も気にせず抱擁を交わす2人。


そうしてどのくらい経っただろうか。
麻衣が苦笑いしながら「はいはいごちそうさま」と言って引き戻してくれなければいつまでも二人抱き合っていたに違いないでしょう。

そして一息ついた後、帰ってきた理由がフィーナの口から語られました。
曰く、
「お父様と議会にあなたの事を認めてもらうのに時間がかかってしまい、今まで連絡が取れなかったの。
本当にごめんなさい。
認めてもらえないままに連絡をすればあなたをもっと傷つけてしまうと思ったから――
そして私からあなたにお願いがあります。
あなたに月に留学して欲しい。ゆくゆくは2人で国を背負うべく月のことを、月と地球の事をもっと学んで欲しい――」


そんなこんなでさらに5年の歳月が過ぎ、結婚式当日。
各国の首脳を招いて盛大に執り行なわれたその場で、結婚と共に名実共に正式に新女王となったフィーナは僕にそっと囁きました。
「私には、あなたがいるわ――」

それはきっと幸福な未来を予想させる福音の言葉――


おしまい
(注、物語を最低限成立させるために一部追加で付け足したエピソードがあります。ご了承下さい)