会長の切り札(ジョーカー) 4 逆転プランの用意あり!

著/鷹見一幸 イラスト/KeG レーベル/角川スニーカー文庫

高校の統廃合をテーマに高校生がゲーム大会を繰り広げる学園ラブコメの最終巻。
最後が大団円のハッピーエンドで良かった。この作者の作風で非常にありきたりのエンディングなんだけど、そこに至る過程がしっかりと描写されてて説得力も感じました。
最終巻なのに主人公があまり登場しません。主人公の高校は2巻で既に2連勝して勝ち抜けしちゃっているので。主人公の持ち上げも無くはないんだけど、そんなに不愉快なほどではなくてバランス感覚の良さが見て取れます。
対決するライバル2校の生徒会長がかっこよかった。特に樫森高校生徒会長がゲームに負けて廃校が決まった後、後片付けを全て終えた帰り際に風にはためく校旗を見て、責任を感じて肩を震わせるシーンはぐっと来ました。
結構面白かった。

この中に1人、妹がいる! 5

著/田口一 イラスト/CUTEG レーベル/MF文庫J

主人公は超エリート教育を受けたコングロマリットの御曹司、のはずがその辺の普通の怠惰主人公となんら差異を見出せないのが非常に気になります。この巻に限らず前からずっとですけど。
頭の回転が遅い上にノーアイデアだし、深慮の無さから馬鹿やって注意を受けるなど素行もお世辞にも良いとは言えないし、チャラい言動は英才教育を受けて世界企業の後継者レースを本気で勝ち抜こうと思ってるように全く感じられません。何と言うか設定倒れ。真面目な話、作者は主人公の設定忘れてるんじゃないだろうか・・・・・・
何より、何が何でも隠し通さないといけない(という設定の)父親の隠し子問題についてオープンなスペースで大きな声で会話したり、大事な大事な証拠物であるボイスチェンジャー付き携帯を引き出しの中にポンと置いといてすぐに盗まれる危機意識の低さにはあきれてものが言えません。
内容もマンネリ化してきて、謎の電話がかかってくる→主人公が回りの女の子が実は妹じゃないか?自分を騙してるんじゃないか?と疑う→やっぱりこの子はそんな子じゃなかった!良かった!!の繰り返し。あそこまで主人公に信じてもらえないヒロインたちには同情の念を禁じ得ません。
内容も無いしそろそろ終わって良いんじゃね?って感じの作品でした。

詠う少女の創楽譜(フルスコア) 2

著/雨野智晴 イラスト/たにはらなつき レーベル/MF文庫J

音楽の話題の時に説明がないので何言ってるか分かりません。ピアノやってたので音楽の基礎教養はあるとは思うんですが、ギターのコードがどうのカート・コバーンがどうの言われても知らんがな(・∀・)
作者がその辺りの知識を知ってて当然でしょ、みたいに書いてるのがオナニー全開でダメな感じ。戦闘シーンもギャグパートも読者に伝える気のない作品は読んでてだるいです。
テキストはいたって平坦。盛り上がりの無さはビジュアルエイドへの依存が高いエロゲのライター出身だからかもしれません。
優しいだけの主人公がモテモテになって女の子と掛け合いして突っ込みいれるエロゲフォーマットに、次々ヒロインが増えていくMF文庫Jスタイルを融合。なんていうかお腹一杯?掛け合いもお世辞にも面白いとは言えません。声優もいない立ち絵もないラノベに、そのままエロゲの掛け合い持ってきた感じで、それでもライターのセンスがあれば笑えるんだろうけど前述のとおり伝える気の無い自己陶酔の音楽ネタだったり、使い尽くされた優しいだけの魅力皆無の主人公だったりと非常に感情移入し辛かったです。


作品内で陰湿なイジメが出てきます。
でもヒロインが虐められる→かわいそうなヒロインを主人公が助けてあげる。それだけで終わると言う。その後いじめた方に何かペナルティがあって因果応報勧善懲悪になるでもないし、例えば報復するだけの力を得たヒロインが虐めた側に復讐しようとするのを、それじゃダメだと主人公が身を賭して分からせてあげるような王道展開もありません。
単にヒロインに優しいだけの主人公を惚れさせるためだけのイベント。非常に薄っぺらいというかテーマ性を感じないというか。


ヒロインもテンプレ。
ちょっと気の強いブラコン妹は朝倉音夢朝倉由夢によく似てます。新キャラのシルヴィはアイシアに似てます。ライターの引き出しの少なさを感じずにはいられません。D.C.2〜ダ・カーポ2〜にしても無印D.C.があったから売れただけで、D.C.2にしても特に評価は高くないし、Canvas3もオリジナルのなないろ航路にしても評価は散々。
D.C.と関係ない作品で音夢や由夢やアイシアっぽいキャラ出しただけで売れるほどラノベは甘くないなのですよ。「D.C.〜ダ・カーポ〜詠う少女の創楽譜」なら売れたかもしれないけど。
そう言えば帯にはドラマCD企画!巻末をチェック!って書いてるのに、巻末では着うた企画!ってなっててちょっと笑いました。イマイチ売れなくて企画が縮小したんだろうけど、帯は修正間に合わなかったのね(>_<)


設定で魔法が才能だけでほぼ決まってしまうのも微妙。努力しても無駄なのが2巻で証明されてしまったので。才能無い人は未来ありません。
さらに軍事転用が即可能な非常に強力な戦闘技術(という設定)なのに、それを扱う人間が精神的に未熟だったり順法精神が皆無だったりとモラルハザード状態。


あんまり内容には関係ないんだけど主人公の喋り方がドクロちゃんの主人公草壁桜っぽい。これに関しては完全に「特に理由もなく単に思っただけ」なのでスルーして下さいです('ω'`)
あと表紙の子、なんでこんなにへちゃむくれなの・・・・・・? もっと可愛く描かないと売り上げ的にマイナスなんじゃなイカ


そんな感じで魅力に欠ける作品。読むのがところどころ面倒臭い。