不滅の護衛が全員瞬殺してもつまらないので、後ろから応援だけしておきますね。

著/藤木わしろ イラスト/TwinBox レーベル/MF文庫J

あらゆる物理法則、概念を覆し、世界を変革する十二の道具――『覇具』。かつて覇具が起こした終末災という悲劇を防ぐため、桃瀬茉莉は世界を救う守護者として覇具の行方を追っていた。その最中、『不滅の護衛』を名乗る男が現れる。「桃瀬茉莉――お前には『魔法少女』として覇具を集めてもらう」最強の護衛・天音咲弥は茉莉を守るどころか、自分は魔法少女のマスコットだと言い出したり、悪を倒すのは魔法少女の役目だと言って敵前に突き出したり、茉莉の後ろで敵味方を混乱させてばかりで――!?
真面目な守護者とおかしな護衛のバトルコメディ、スタート!

最強の元・守護者で不滅の護衛が、未来を託すに足る新米守護者を護衛しながら世界を救う物語のプロローグ。
最強の元・守護者で不滅の護衛が戦わない理由や最強である理由、敢えてここまで説明しなかった理由やらも最後にまとめて新米守護者(と読者)に説明されるものの、なんかこうもにょり。
いくつか必要な情報を開示しておけばそこまで新米守護者に絶望感与えずに済んだんじゃないのかと。
情報開示できるのにしない理由としてはあまりに弱く、話を作るために開示しなかったように見えてしまいました。
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あとシリアスな戦闘中に、魔法少女がどうのマスコットがどうの言い出すのも、それがこの作品のコメディ要素なんだろうけど、テンポは悪くなるしかなりイラッとするしで、上手く面白さとして昇華できてないように感じました。
自分で解決できるけど敢えてしない、物語の大事な部分を全部知ってて、上から目線で、隠し事大好きな最強の護衛様が、「魔法少女、がんがえー」とか後ろで無責任に応援するせいで話が無駄に引き延ばされているのは、うーん。
最強キャラの扱いって結構難しいと思うんですよ。
バトル物なら主人公の父親とか師匠なんかがそのポジションで、主人公よりも(時にはラスボスよりも)強く、そのため様々な理由を作者が用意し主人公の戦いにはまず参戦してきません。
るろうに剣心の比古清十郎とか、頭文字Dの藤原文太とか。
そういった別格の最強キャラこそが主題なのに、扱いにあまり腐心してないように見えてしまって、イマイチ物語に入っていけませんでした。