僕の知らないラブコメ 2

著/樫本燕 イラスト/ぴょん吉 レーベル/MF文庫J

MF文庫J3月新刊。
第13回MF文庫J新人賞《最優秀賞受賞作》の待望の第2弾。
新人賞組のなかでも特に最優秀賞をとった樫本燕の第2巻です。
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ある日、時間をスキップする能力を手に入れた主人公。
1巻では、嫌なことから逃げるために安易にスキップしたせいで、恋人との存在したはずの大切な思い出までも時のかなたに失ってしまった主人公が、こんな安易なスキップ能力には頼らずに、大切な彼女のためにしんどい道でも自分の足で歩いていこうと決意します。
しっかりと一歩を踏み出した主人公が、これ以上ないくらいに綺麗にハッピーエンドで物語を終えました。
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そんな1巻だったのでどうやって2巻に続けるのかな、と思ったら、2巻は不意に自動発動してしまったスキップ能力のせいで、知らないうちに風紀委員に任命されてしまい、しかしそこで起こった問題をちゃんと解決しようと取り組むお話でした。
成長したな、と途中まで思ってました。
途中までは。
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あと新キャラの風紀委員が痴女かよってくらいに迫ってくるのと、本当に屑の代表みたいな不良、というかもはやチンピラみたいなのが出てきて、ちょっともにょり。
不良チンピラの出てくる話は大抵が理不尽な暴力が付随し、理性的でない展開に陥らざるを得ないので、ぶっちゃけ好きではありません。
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で、主人公の話に戻るんですが、成長したなと思ったんだけど、最後に不良チンピラと戦ってキレた相手にナイフで刺されてしまいます。
そして、その痛みを回避するためにスキップ能力を起動した主人公を見て、ちょっとうーんと思わざるをえませんでした。
なぜ最後の最後でスキップ能力に頼ったのか。
だって彼女のために受けた痛みって、すごいじゃん。
男の勲章だよ。
そのへんのヘタレぱにーに(=゜ω゜)ノには逆立ちしたってできません。
あ、いやボクもその昔、全治三か月の足首靭帯の大怪我をしたんだけど、チームの主力だったボクはテーピングでガチガチに足首を固めて、脂汗を流しながら翌日のフットサルの大会に出たことがありました。
怪我した瞬間は声が出ないほど痛くて、起き上がるどころか身じろぎすらできませんでした。
それでも最後までチームメイトと一緒にプレーして、決勝トーナメントまで戦いぬいたことは、今でも思い出せるほどにかけがえのない思い出になっています。
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閑話休題
せっかくスキップ能力に頼らないことにして、不良チンピラにも立ち向かっていったのに、最後の最後でスキップ能力に頼って痛みを回避してしまうのは話の展開としてやや腑に落ちませんでした。
この傷も、その痛みも、あの苦しみも。
全ては、ただ一人の愛する彼女のために受けたものじゃないんでしょうか。
それともこういう考えは、もう古い時代の遺物になってしまったんでしょうか。
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主人公の最後の選択に、イマイチ納得がいきませんでした。