学戦都市アスタリスク 9 悠日戦啾

著/三屋咲ゆう イラスト/okiura レーベル/MF文庫J

大絶賛アニメ放映中。最新刊。
クローディア編のネタばらし回。準々決勝と準決勝の合間の1日を濃密に描いたお話です。
クローディアの目的や行動のほぼ全てに関わる重大なネタバレをしているので、アニメ組の人や最新刊を未読の人はスルーしてくださいね。
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クローディアが星導館で生徒会長になり、綾斗を見い出し転入させetc...もろもろの最終目的は、運命の人である綾斗を守って死ぬこと、でした。
パン=ドラの見せる様々な死の悪夢。
毎晩のように見せられる悪夢のなかで、クローディアはどれだけ幸せな人生でも最後は必ず死んで無に帰るという悟りの境地にたどり着きました。そして必ず「死」で終わる「生」よりも、必ず訪れる「死」の方法こそが重要だと考えるようになりました。
その辺はパン=ドラ所有者にしか理解しえない境地、もしかしたらクローディアの心はもう壊れてしまっていたのかもしれません。
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そして毎夜続く悪夢の中で一番峻烈にクローディアの心に残ったのが、綾斗の身代わりになって死ぬシーンだったのでした。ユリスや両親といった身近な人物までもが未来死の悪夢でクローディアを殺す中で、綾斗だけはクローディアを殺すことが無く、クローディアはそんなまだ見ぬ綾斗に王子様として恋い焦がれたのでした。
そして綾斗を探し出して編入させ、銀河を挑発して諜報部隊ナイトエミットをけしかけさせることで、夢の中で見たシーンへとたどり着いたのでした。
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夢の中の綾斗がクローディアを殺さなかったのは、性格が悪いパン=ドラがわざとそうして、クローディアが綾斗を好きになるように誘導して人生をもてあそんだから。と、クローディアも言ってるし他に言及もされてないんですが、結果として生き残った上に綾斗とラブい関係になる結末を得たわけで、パン=ドラは実はツンデレでクローディアのことを面倒見てあげたのでは、という感じがしなくもなかった今日この頃。
そう言う事は一文字も書いてないし、単に行間を読んでそう思っただけですが、パン=ドラはクローディアを使用者に指名したわけで、そういう親心的な捉え方は無くは無いかな、と。
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夜吹くんは影星のエージェントで、実家は暗殺諜報なんでもござれの忍びの一族でした。
実家を裏切ってクローディアを守ってちょっとシャレにならないなと絶望しかけていたものの、クローディアを守ったことでママさんから評価され、実家からも解放されて自由の身になったのでした。
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今回はクローディア編のラストであるとともに、特に主要人物の親子関係や立ち位置などがネタばらし気味に描かれた巻でした。
面白かった。