魔法戦争 9

著/スズキヒサシ イラスト/瑠奈璃亜 レーベル/MF文庫J

MF文庫J8月新刊。
7巻から続いていた過去編が完結。
物語の大筋や、主要メンバーの立ち位置がほぼ明らかになりました。
かなり重要な巻だったので、10巻以降を読む時のためのメモがてら詳しく書いてあります。
読んでいない人にはもちろんちんぷんかんぷんなので華麗にスルーしてください(ゝω・)
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第1巻、物語当初は、人と魔法使いの静かな共存を謳う主流派<ウィザードブレス>と、魔法使い優位社会を目指す反乱分子<トレイラー>という構図でした。
しかし物語が進むにつれて、当初の意義を失い唯我独尊に圧政を敷く<ウィザードブレス>と、<ウィザードブレス>に迫害されて逃げ延び、暴虐に立ち向かうために組織された反政府組織<トレイラー>という正邪を入れ替えたかのような対立関係が詳らかになりました。
ももたんこと四条桃花学院長が<ウィザードブレス>の大幹部で有りながら<トレイラー>に通じていたのもそういう理由でした。<トレイラー>というより正確には<フェニックス財団>が本当の立ち位置ですけれども。
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そしてその<トレイラー>も方向性の違いで一枚岩ではないので、世界全てを恨み復讐に身を焦がして狂ってしまった鷲津吉平あたりがラスボスになりそうです。
主人公・七瀬武のもとに、四条桃花、相羽六、相羽十、五十島くるみ、伊田一三、ヴァイオレットと部下たち、一氏先生etc...メインキャラがほぼ結集したので、ここから2大勢力の一部同士を吸収しつつ<フェニックス財団>をベースに第3勢力を形成して魔法戦争終結へと導いていきそうな雰囲気です。
10巻まで来てなお世界を背負うだけの覚悟に乏しい主人公がやや頼りないものの、周りに手助けしてくれるいい大人がいっぱいいるので、ここからラストスパートで格好いい主人公になっていってほしい。
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ヴァイオレットが龍泉寺和馬を信奉していたのは幼いころに龍泉寺和馬(偽、下記参照)に助けられたからでした。
龍泉寺和馬のラストレクイエムを止めたのは四条桃花の暗黒魔法でした。
第一次魔法大戦の大事な所はこれでほぼ全て明らかになったと思います。
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月光は龍泉寺和馬との戦いで異世界に飛ばされ物語から除外されました。
最後に「憎かった、でもそれより羨ましかった」と武に告げて、始めてみせた穏やかな笑顔で消えていきました。
1巻から続いていた兄弟の確執に最後は綺麗な形でケリを付けたと思います。
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そして龍泉寺和馬は死亡。
和馬の魂は死の間際、ソフィアが命を懸けた魔鍛造で主人公・七瀬武の化身(アスペクト)<トワイライト>へと移ります。
そして和馬が死んだことで<トレイラー>が暴走しないように、そして和馬が生きているという本来の未来を変えないために、そして武自身が未来に戻るために、武が龍泉寺和馬に成り代わることになります。
武本来の回避魔法に加え暗黒魔法を使えるようにするための危険な古代魔法や、和馬の姿に変えるための変身魔法、17年後まで眠り続ける魔法など、<フェニックス財団>のコネクションで様々な高位魔法使いの協力を得て、ついに現代に戻ってきました。
つまり1巻からずっと寝たままだった龍泉寺和馬は過去に飛ばされた主人公・七瀬武だったのでした。
なので起きてすぐに、囚われのくるみを助けたりとかしていたわけですね。
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ソフィアが傷を負いながらも治療せずに魔鍛造を行ったのが少し無駄死にに見えなくはなかったものの、魔鍛造に命を懸けるブレイブ一族の価値観や、無力な自分がどうにかして武の役に立ちたいという強い気持ちがあったことを考えればわからなくもありませんでした。
ソフィアは現代編の重いダブルヒロインと違って、凄く可愛いヒロインだっただけにあっさりと死んでしまってとても残念です。
ただ「二人分の」と言っていたので、龍泉寺和馬とともにソフィア自身の魂も魔鍛造されているかもなので、今後もしかしたら出番がある事を期待しています。
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面白かった。
10巻も楽しみです。