猫耳天使と恋するリンゴ

著/花間橙 イラスト/榎本ひな レーベル/MF文庫J

高校2年生の一樹が食べた林檎は、どんな願いも叶える『天界の林檎』だった。林檎を食べたことで悪魔に命を狙われることになった一樹は、天界から舞い降りた天使・ミントと協力して『林檎の片割れ』を捜索することになる。悪魔の襲撃、天界の林檎に隠された秘密、次々に迫りくる苦難を乗り越えながら、片割れを手に入れるために奔走する一樹。

第9回MF文庫Jライトノベル新人賞<佳作>受賞作。
買う時にタイトルだけちらっと見て中身確認せずに勝手にゆるふわラブコメ系かと思っていたら、願いを叶える天界の林檎を巡って天使や悪魔が登場するお話でした。
ブコメ要素はかなり強めでしたけれども。初々しくこそばゆい主人公と幼なじみのバカップルっぷりに(^ω^)ニヤニヤできて良かった(*´ω`*)
あーんしたり、一緒に寝たり、公園のトイレで全裸羞恥プレイをお願いしてお願いしてお願いして聞き入れてもらったり、バカップルなら当然だかんな!
.
天界の林檎は女の子の願いを叶えながらそれによって発生する「幸福な記憶」を養分にして大きくなり、収穫すると女の子からはその間の「幸福な記憶」が失われてしまいます。主人公と前後してリンゴの片割れを食べてしまったのは幼なじみの雪姫でした。身体への負担も少なくなく、雪姫はバカップルとして幼馴染と過ごした記憶を雪姫が失ってしまうと分かった上で、主人公はリンゴを収穫しないといけなくなります。
.
物語の最後、自分が天界の林檎が願いを叶えた雪姫の見ている夢の中にいると気づいた主人公。
雪姫と主人公に都合よく作られた温かく幸せな世界。それでも主人公は現実の世界で雪姫と居ることを望みます。おとぎ話で毒リンゴを食べた白雪姫は、継母からの凄惨ないじめに遭わない夢の世界で幸福な夢を見続けていたかもしれません。それでも王子様は現実の世界で白雪姫を幸せにしたいと強い意志をもって白雪姫にキスをするのです。
そしてそんな全体の流れ全てが、主人公とキスをしたいという雪姫の願いを天界の林檎が叶えるためのお膳立てだったとかそんな話。
.
最後、悪魔にやられた猫耳天使を助けるために収穫した天界の林檎の力を使う主人公。
ちなみに男が天界の林檎を食べると恋心を失います。
これでヒロインを増やしていっても本命は雪姫ちゃんだし恋心がそもそもないんだから問題ないね!
.
雰囲気・作風が「救世主の命題」「神のみぞ知るセカイ」に似ています。
どちらも主人公に切ない孤独感が表現されていて好きな作品です。
面白かった。