機巧少女は傷つかない 13 Facing "Elder Empress"

著/海冬レイジ イラスト/るろお レーベル/MF文庫J

「Elder Empress」は訳すと女帝先輩、くらいでしょうか。
夜会も最終局面に突入、“遅れてきた真ヒロイン”ことロシアからの留学生、女帝・ソーネチカ先輩が登場です。
14巻を読んだ時にあらすじがわかるように半分メモも兼ねた感想で、当然のごとくネタバレしてます。
.
遅れてきた真ヒロインと書かれるだけあって、序盤で登場したらメインヒロインを喰っちゃたんだろうな的な、むしろヒロイン変わったかも……と思えるような超ヒロイン力でした。

皇帝の娘として、弱体化し革命の気配が燻る帝政ロシアの復活という重責を担う高い志と、窮地を切り開く知恵と胆力と魔法の才で戦い続ける孤高のヒロイン。
その高い戦闘力はラウンズの12人の中でも一目置かれ、フレイと日輪を夜会から脱落させます。
フレイ、日輪は割とサクッと退場してしまいました。
どっちも強かったものの、ソーネチカ(の背後にいる灰薔薇)のチートにやられてしまいました。
.
日輪は祖母が登場してゴタゴタしてたのでもうちょっと出番がありそう。
逆にフレイは、ロキがもろもろ引き継いで雷真と戦う事になるのでしょう、綺麗に退場しました。
フレイは最も長く夜会の舞台に立ち続け、信頼で結ばれたガルム犬の同時使役による多彩な戦術に加えてワンチャンスにかける勝負勘も会得し、ロキの背中に隠れていたころと比べてほんと成長しました。
.
そんなソーネチカを巡って暗躍する結社と灰薔薇が学院地下のギュネスにアクセス、その力を取り込もうとします。
キンバリー先生も死にかけの大怪我。
雷真は雪月花とシャル、オルガの力を借りてそれを撃破します。
元来の鋭い洞察力に加え、グリゼルダへの師事や度重なるギリギリの戦いによって完全に開花した赤羽一門の才能。
もはや歴代ワイズマンに比肩するレベルに達した雷真と、その手足となって戦う最強のオートマトン雪月花三姉妹。
夜会に残るは学院に来て最初にケンカを吹っかけたシャル、ライバルとして研鑽し合ってきたロキ、そして撫子の仇である宿敵マグナス。
1巻冒頭で最初にケンカを吹っかけた相手シャルと、ついに決着を付ける時が来ました。
ロキも才能の差を実感し近い将来手が届かないであろうと感じているものの、今の時点での強さ比べなら互角と踏んで力比べに意欲を燃やしています。
物語もそろそろ終幕が近づいてきたようです。
.
雪月花の中で、特に小紫の活躍が半端ありません。
補助系に特化した「八重霞」は、迷彩をかけ錯覚を起こし魔力の綻びを見つけるなど、直接戦闘系魔法が跋扈する夜会において異次元の異端で、最強魔法の一つとして縦横無尽に活躍します。
命が尽きかけている夜々は決戦まで温存せざるを得ないため(表紙にも姉妹だけ)、その分の出番も回ってきた小紫が八面六臂の大活躍。
それでも次は夜々の出番でしょう。
ロキ、シャルと言った最初期メンバーとの戦いなので。
次巻が楽しみです。
面白かった。