デート・ア・ライブ 10 鳶一エンジェル

著/橘公司 イラスト/つなこ レーベル/富士見ファンタジア文庫

ファンタジア文庫3月新刊。
ついに大台10巻に到達したデート・ア・ライブ
物語は大きな山場を迎え、まさにここまでの総決算と言ってもいいほど密度の濃い、そして衝撃の展開でした。
ここまでやったからには、もう盛り上がったまま最後まで突っ走るしかないでしょう。
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5年前天宮市で起きた大火災、その渦中に現れて折紙の両親を殺した光の砲を放つ”天使”。
その存在を殺すために折紙は死に物狂いの努力を重ねて自衛隊ASTに入隊、しかし精霊の異次元の強さに絶望し、それでも両親の仇を討つ為に更なる努力を重ね、実に人生の1/4を復讐に捧げてきました。
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そろそろ勘のいい人は気づくことでしょう。
10巻のサブタイトルは「鳶一エンジェル」。
その「天使」とは、狂三の力で過去に飛び、親の仇と信じて戦いを挑んだ謎の精霊ファントムを倒すために我を忘れた折紙自身であり、両親を鬼籍に入れたのは自ら放った必滅の必殺技だったのでした。
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幼い折紙が両親の仇と見上げた先には、第一精霊となった5年後の折紙自身がいたのです。
これで作品の大きな謎の1つ、5年前の真実が詳らかになりました。
精霊を殺すための力を得るために、自ら憎くて堪らないはずの精霊に身をやつし、時間を操る憎き精霊に頭を下げて過去に飛ばしてもらい、その先で真実という名の猛毒にさらされた折紙さん。
彼女にはもう、壊れて、狂って、絶望するしかありませんでした。
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1巻からここまでずっと主人公・五河士道をサポートする拠点して戦い続けたラタトスクの空中戦艦フラクシナスが轟沈。
七罪と四糸乃の触れ合いや、折紙が士道を拉致監禁する日常を描いた前半とは打って変わった中盤以降の怒涛の展開に、我を忘れて読み進めました。
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表紙めくると霊装ひん剥かれてパンツでM字開脚してるのでもうちょっとマイルドな話かなとか思ってたんですけど、予想をはるかに超えたシリアスで濃密な内容でとても満足、とても面白かったです。