けんぷファー 9.1/2

著/築地俊彦 イラスト/せんむ レーベル/MF文庫J

表記がヘンテコですが、短編集というわけではなく普通に本編の続きで、つまり9巻と10巻の間。
シリーズ通算だと11巻目。
何で今更けんぷファーってな感じですが、コミックアライブの連載が締めに入ってて早く原作読み終えないと漫画がネタバレ全開で先に終わってしまう・・・というの大きな理由。
純粋に黒幕や設定、結末が気になるのが第2の理由。
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9巻で佐倉さんの実家に乗り込んで決着つける、みたいな話になっていたわけですが、その前に人間関係の整理をするお話。
紅音ちゃんといい感じになっているだけでなく、水琴と雫に告白されて決着付けた後に答えを出すと主人公が最後の引き延ばしをするお話。
ケンプファー関連のメインストーリーが進んでいないので敢えて巻数表記が1/2となっているのでしょう。
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「分かっているのに、分からないように自分に言い聞かせるのは、無駄な努力よ。ナツル、分からないふりはやめなさい。三郷雫は瀬能ナツルのことが好き。好き、好き、好き、好き、好き」

主人公・瀬能ナツルは今まで有りえない鈍感難聴を発揮していましたが、実際は恋愛的な相手の気持ちを分かってないと自分に言い聞かせていただけなのでした。
理由はちっぽけな男のプライドと言うか、今まで女の子を遠目に見て仲間と有りえない妄想馬鹿話したりため息をつくばっかりだったのに、自分の意図とは全く関係なくケンプファーになった途端急にモテだして、中身の自分は何も変わってないのになんで・・・という感じの自己認識の危機、アイデンティティークライシスに陥っているからなのでした。
それと変身して女性化していると男性としての性欲が落ちるというのがもう一つの理由。
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そんな感じで意外と鈍感設定の根拠がしっかりしててちょっとびっくり。