変態王子と笑わない猫。 5

著/さがら総 イラスト/カントク レーベル/MF文庫J

主人公の無駄に文学的な変態さを軽妙なモノローグで表現した文章がとても面白い作品。
そんなフォーマットに加えタイトルがアレでナニな感じですが、中身は結構真面目です。
5巻ではかつて主人公が「笑わない猫」によって失ったもう一つのものが明らかになります。ヒロインたちとの過去の出会いを覚えていなかった主人公は「想い出」を奪われてたのね。そんな感じで新たに主人公が取り戻す目標ができた物語のターニングポイントとなる回でした。
過去編と言うことで、幼い主人公にオスカー・ワイルドを教えた人や、月子が主人公の匂いを好きな理由、幼い頃の超かっこいい主人公、鋼鉄さんが初恋の相手に似てると言ってた理由が明らかになったりetc...ファンの疑問をこれでもかってくらいに解決したお話でした。
そして次巻は打って変わって愛憎修羅場劇場らしい。主人公の本命は月子ちゃんみたいですけど。序盤で言ってた「拗ねてるのはわかる、拗ねてる理由もわかるけど、拗ねてる気持ちの根っこに自信が無い」ってのがいかにもヘタレ主人公っぽくて好き。変態テキストの中にも丁寧な心理描写がたくさん散りばめられているので読むのが楽しいです。
とてもお勧めのライトノベル
あと、過去編の最後の方で主人公がちょっと寄る所があるからってシーンで、序盤の前振り的に過去にしか存在しえない伝説の着衣であるところのブルマを買いに行ったんだと思いました。割とマジで。読み終えてから自分の思考回路にはもはや修正不能な致命的なエラーがあるんだなとひしひしと思い知らされました。真面目に読んでただけになおさら('ω'`)