Flyable Heart

著/岡崎いずみ イラスト/いとうのいぢ、ぺろ レーベル/ファミ通文庫

ギャルゲーのノベライズに定評のある岡崎いずみ著。今作も原作をしっかりと再構成して読みやすいノベルに仕上がってます。テキストもストーリー構成も上手でキャラも可愛く書けるから、この人がノベライズ担当なら安定作者買いできる人。オリジナル作品は読んだこと無いけどね。
Flyable Heartも、同じ誕生日、共通の特技、不自然な家族構成、食い違う記憶etc...一見伏線に見えないようにあっさり流してるんだけど、ところどころミスリードも交えながらしっかりとした伏線が張り巡らせてあって、読み物としてなかなかレベルが高く楽しく読めました。ラストはワールド発動(オーガスト初期ゲームの後半の超展開から来た用語)でパラレルワールドとか未来人とか出てくるんだけど、これは原作ゲームのせいだしね。一応これも匂わせてあるっちゃあったし。
ストーリーで一つだけ気になったのは主人公と結衣が、戸籍上は双子じゃないけど生物学上は双子だって点。主人公はパラレルワールドに飛ばされて元の世界を捨ててパラレルワールドで生きる選択をして、この世界での主人公は生まれた時に死んだかなんかで存在しておらず、戸籍上は双子じゃないから二人は結ばれてもいいってオチなんだけど、民法第734条(近親婚の禁止)の立法趣旨鑑みたらまずいよねとちょっと思いました。結局二人は遺伝的には二親等なので。
それを除けばテンポも良いし話も面白いしでそこそこお勧め。