灼眼のシャナ20

著/高橋弥七郎 イラスト/いとうのいぢ レーベル/電撃文庫

電撃でここまで酷いのは珍しいってくらい見た瞬間分かる誤字脱字が多い。担当の三木さんだっけ?いったい何してんの?
そしてここ最近本当に顕著なんだけど、15巻くらいまでと違いすぎてて読んでてとても違和感が。シャナと悠二の2人に焦点を当てた狭い世界の物語をずっとやってたのに、ここ数巻は世界規模の大規模な戦争をやっててなんかこう消化不良。その戦争がそれまでのお話よりはるかに面白いならまだ良いんだけど、そういう訳でもなく寧ろ筆者の自己満足的な感じがしてなりません。
例えば描写を追ってるとフレイムヘイズ側が負けてるようには見えないのに、結果は大敗だったってあるのは明らかに筆者の筆力不足。大負けしてるのに勝ってる描写ばかりいれる意図がさっぱり分かりません。読後の違和感が半端無いです。
さらに大敗したのに主要ネームキャラは全部生き残るから、いかにもご都合主義。主人公周辺の局地戦にしておけば、それでも許容できただろうけど、世界中の徒とフレイムヘイズを巻き込んだ戦争でここまでご都合主義やられるとぽかーん。そもそも筆者はずっとシャナと悠二の狭い世界の物語をやっておいて、なんで今更戦争なんかを書こうとしたのかが謎です。広く浅く書いてるせいで個々の内容が描写不足になってそれも消化不良の一因に。
個々の戦闘も、いままで悠二の機転をシャナが生かす!と読んでてワクワクしてたのが、今は
『スーパーハカーのシャナが広域サーチ!相手が対応しようとしたけど有無を言わさず必殺技で殲滅!』
これの何が面白いの? 大兵力集めてもごく一部のスーパーエースがたった一人でいとも簡単に戦況をひっくり返すから、盛り上がり皆無。索敵から殲滅まで全てを瞬時にこなすシャナを始め、個々の圧倒的戦闘能力がモノを言う戦いを描きたいなら戦争じゃなくて戦闘を書けばいいよね。
さらにフレイムヘイズは有能で、徒がいかにも無能にかかれるのがなんとも。作者に都合よく物語が進む上に、主人公側に常に都合よく物語が進むから、読まされてる感じでいっぱいです。そういった補正は戦記でやったら終わりでしょ。ガンダムSEEDのキラのように、一人で戦争終わらせるのはマジ勘弁して欲しい。あと戦記や大敗北をやりたいならそれ相応の展開=一人二人主要キャラを退場させるべき。ゾフィーあたりならそこそこ序盤からいてシャナと関わってる割に別段シャナと悠二の話には関係ないから適任でしょ。それくらいしてくれないと余りにも内容がお粗末過ぎて話になりません。センターヒルが退場してもふーんでしかないし。しかも退場のさせ方も特に力入れて魅せる訳でもなくさらっと流しちゃうし。筆者が何を伝えたいのか、ここずっと量りかねてます。
最後に祭礼の蛇(悠二ね)に対するフレイムヘイズ側の主張があまりに弱い。蛇の主張も手段やザナドゥ生成による世界への影響とかが隠されてて穴だらけだけど、それに対するフレイムヘイズの主張は根拠も論拠も対案も無い感情論だからどうしても蛇の方が正しいように見えます。まったく理論武装せずに個々の信念がどーの言われても、読者からしたらだからどないやねんって感じでいっぱい。悠二の目的が、喰われて消えていく人間とそれによって生まれ戦いながら死んでいくフレイムヘイズという存在を無くすこと(そしてそれはすなわちシャナを守ること)なんだから、フレイムヘイズがその価値観に抵抗するのは人間を無視してて単に自分らの勝手なんだよね。それを許せんとかこの世界から歪みは消せてもザナドゥの歪みが残るだのなんだの訳の分からんこと言われても、それはフレイムヘイズの勝手でこの世界に生きる普通の人間からしてみればいい事ずくめなのに邪魔すんなって話で。
あーあと、新しい世界の動力は零時迷子かな? 神様のパワーを零時迷子で補給できたら確かに無限の存在の力を出せるだろうし。
そんな感じで色々と消化不良。