ロウきゅーぶ!

作/蒼山サグ　イラスト/てぃんくる　電撃文庫
第15回電撃小説大賞銀賞受賞作

高校入学とともに部長のロリコン疑惑で部活を失った長谷川昴。ただでさえ小学生の話題はタブーなのに気づけばなぜか小学校女子バスケ部コーチに就任って!?「ん?ぱんつなら心配ないよ、ほらっ」「やっぱりっ、でか女なんだわたしっ!」「おにーちゃんの背中が気に入りました」「あの、そ、そろそろご指導の方を―」「いろいろ面白くなってきたわね、ふふ」個性的な少女たち五人の猛烈アピールに振り回されっぱなしながらも、それぞれの想いを守るため昴はついに男を魅せる!小学生の女子だって悩みは多いのです。そんな彼女たちに翻弄されまくっちゃうさわやかローリング・スポコメディ。

率直な感想。

これが銀賞とかないだろ(´･ω･`)

だってさ、これが銀賞ってことは、上には金賞があってさらにその上に大賞がある訳じゃん？それらってつまりもしかして歴史に残る超名作なんじゃね？

そういう訳で、「第15回電撃小説大賞銀賞受賞作」という堂々たる肩書きを引っさげて発売(09年2月発売なんで情報としてはやや古いですごめんなさい('ω'`) )された「ロウきゅーぶ!」。

タイトルの意味がちょっと分かりにくいんですが、「籠球（ろうきゅう＝バスケットボール）部」をもじってるのでしょう。
「ロウ」と「きゅーぶ!」がカタカナひらがなに分かれてるのでぱっと見「籠球」に気付きにくい感じ。
後は「休部」もかな？不祥事による休部のせいで高校進学早々バスケをできなくなった主人公が、もう一度バスケの情熱を取り戻すってお話だしね。

「まったく、小学生って最高だな」

一番心に残ったところ。
小学生の女の子達がみんなでお風呂なシーンの直後（次のページ）にある主人公の内面描写で、凄く真面目なシーンです。さすがロリコンラノベ、いちいちセリフも規格外にカッコウイイデスネ。
ロリコンといえばイラスト担当のてぃんくるさんはぶっちゃけ全く知らなかったのですが、可愛い小学生を描くイラストレーターさんで、とてもよいと思いますo(^-^)o

ジャンルはいわゆるスポ根。題材はバスケ。サッカー部の感覚でいうと、手でやるフットサル。どう考えても説明が逆ですね分かります。
で前述の通り、挫折を味わった主人公が小学校の女バスのコーチを引き受ける事でもう一度情熱を取り戻すってな熱血ストーリーなんですが、小学生の可愛い描写とバスケの熱い描写がテンポ良く織り交ぜられて話が進んでゆくのが秀逸で、まさに萌えと燃えの絶妙なコラボレーション。テンポ良く読み進められました。
やっぱりテンポの良さって大事だと思うんです。
ロウきゅーぶ！は読んでて次が気になるような、それでいて描写が駆け足にならないような高いバランス感覚をもった構成力の高さを感じられました。
やはりシナリオゲーとかライトノベルって読んでて面白くないとダメですよね。大事なシーンだからって延々としつこく言葉を変えながら同じ事を描写されると読む気がなくなるというか。
またラストの試合シーンでは、活字で分かりやすく、出来うる限り簡略化しながらも要所は押さえて見せ場をしっかり演出していて、新人とは思えない筆力の高さも感じました。

挫折した主人公が再びバスケに対する情熱を取り戻して行く（正確には取り戻すってのは違うんだけど、まぁネタバレするのもアレなので便宜上そういうことで）過程もstep by stepで丁寧に描かれていて、ほぼ文句の付け所が無い仕上がり。

最後に、とびら（だったっけ？表紙めくってすぐのページ）に載っている、
『32本目で頬に感じた一滴が、
41本目で数の概念を飛び越え、
47本目で世界の音さえも塗り替えた。
そして、50本目――』

という詩。
これが最後のエピローグに繋がるので、ちょっと読んでみようかな、と思った方は是非心に留め置いておいてくださいです。
ぱにーに(=ﾟωﾟ)ﾉは最初は気付かなくて読み終えて速攻2回目読み返すときに気付きました。1回しか読まない人はもしかしたら気付かないかもしれないですが、そういうところも新人離れしてるな、と感じたところです。

そういう訳で第15回電撃小説大賞銀賞受賞作を見事獲得した蒼山サグのデビュー作「ロウきゅーぶ!」。
100点満点で97点付けます。
−3点分は導入部分が若干好き嫌いが分かれるかな?と感じたので。全編ガチのスポコン（＝「スポ」ーツ＆ロリ「コン」）なんだけど、導入部分だけちょっと方向性がネタ方向に触れてるんだよね。全くもって大したことじゃ無いんで、満点出さないための苦しい言い訳だけどね(´･ω･`)それくらいマイナス要素がない。
バスケに限らずスポーツが好きな人、スポ根が好きな人、そして小学生の女の子が好きな人、そんな人にお勧め。
とても面白かったので是非騙されたと思って読んでみてください。

ロウきゅーぶ! (電撃文庫)