CLANNAD〜AFTER STORY〜 第17話「夏時間」

朋也は素晴らしい父親です。
「うるせーんだよちっとは周りの迷惑考えろ!」と怒鳴る次回予告のシーン。娘のご機嫌取りに終始した上にクサイだのキモイだの馬鹿にされて、それでもヘラヘラしてご機嫌を取り続ける現在の我が国における父親たちの姿とは一線を画す、まさに古き良き昭和の父親。
昨今、学校教育の崩壊が声高に主張されていますが、それよりも前に社会の最小単位であり人格形成の基礎たるべき『家庭』というシステムが崩壊し、目上の人物、特に父親に対する敬意が消失している事こそが教育問題の根源であるという作り手の主張が、あのシーンからは感じられました。
あれこそまさに伝統ある古き良き父親の姿。父たる者ナニよりもまして強く、そして厳格で強くなくてはならない。敗戦後にアメリカによって押し付けられた個人主義という美辞麗句に飾られた日本統治政策により崩壊してしまった日本の家族制度に対して投げかけられた、一種の命題とも言うべき作り手の明確な意思を感じるシーンでした。クラナドは人生と揶揄されることもありますが、朋也という個を通して父性の復権を描いた本作はまさに人生と呼べるものでしょう。
父親とはどうあるべきか。それは家族に降りかかる全ての重責を担う大黒柱としての圧倒的な存在感であり、敬われ慕われそして何より家族を守るべき力強き存在である。そんな厳しくも暖かいストーリー展開が本当に素晴らしい作品だと思います。